戦争のつくりかた

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国民保護法ウォッチャーズより 絵本 戦争のつくりかた Web版


 15日に『米軍再編』問題を考える市民のつどい に参加して浅井基文さん(広島市立大学広島平和研究所所長)の講演を聞いた。
 外務省出身で輝かしい経歴の浅井氏は、ラフなスタイルで壇上に座って語り始めた。「レジメの何ページのこの項目について話してから・・・」なんだか大学の講義を聴いているようだった(笑)
 浅井氏のHPはこちら 孫娘のミクちゃんとのツーショットがほほえましい(*^_^*)
 講演内容については、是非 住民投票を力にする会 のHPに詳細を掲載する事をお願いするとして。
 北朝鮮のテポドン発射に対する騒動とも言える政府やマスコミの過剰反応に対する危惧とその意図についての話。此方も氏のコラムを参照ください。「北朝鮮のミサイル発射についての視点」
この中で氏は、
基地機能移転を拒む地元自治体に対し、北朝鮮脅威を声高に言うことによって、地元の利害のみに拘泥するのはけしからん、という世論を興し、その世論を味方に付けて関係地元自治体を孤立化させ、ゆさぶり、スクラムを崩し、再編を強行する、という魂胆が透けて見えてきます。
 北朝鮮脅威論は虚妄であり、アメリカの先制攻撃によって始まる朝鮮有事のみが考えられる戦争シナリオであること、北朝鮮は、ライオン(アメリカ)、虎(日本)にいつ何時襲われるかと戦々恐々しているハリネズミであること、戦争を起こさない(したがって日本に飛び火が飛んでこないようにする)最大かつもっとも確実な保証はアメリカをして先制攻撃の戦争をさせないことです。そのためには、岩国を含めた在日米軍基地の再編強化を許さないことこそがアメリカの危険な戦争を阻止することにつながるのです。
 したがって、私は、岩国をはじめとした地元自治体やこれを支援する全国の世論が、今回の事件によってパニック・受け身になるのではなく、そして政府が繰り出すであろう脅し・すかしに惑わされることなく、断固として基地機能移転受入を阻止する方針を堅持することを心から期待したいと思います。

 岩国の住民投票は、住民の私でさえ当初 過半数は厳しいと思っていた。それ程 岩国という土地は基地の街であることに慣れきっている。それが住民投票後に行われた合併による新岩国市長選でも移転反対派の井原市長を誕生させた。これは単に騒音問題だけではない。
今日は曇っていて戦闘機の爆音が良く聞こえるけど、しょせん 騒音は局地的な問題にされてしまう。地域振興や軍民共同空港などの甘い蜜も結局は得をするのは誰か が市長選ではっきりと見えたし、頭ごなしに再編を進める政府への不信感の現われだと思う。
 けれど、各地で表明される容認や周辺市町村への揺さぶり、山口県知事の政府寄りの発言など包囲網は狭まれつつある。その中での今回のテポドン騒動は国民を先制攻撃に駆り立てて、米軍再編を進める格好の材料になっている。

 上記に関連ページを示した『国民保護法』は講演でも取り上げられた。あまり報道されていないけれど国民保護という名目で、自衛隊と米軍の行動を円滑かつ効果的にするものとするための措置が盛り込まれている。
有事法制関連法(外務省)
武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(国民保護法)
武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律
武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律
日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定(日・米物品役務相互提供協定改正協定)
 今回のミサイル発射においての京都新聞(2006.7.9)の記事 
自治体の「有事」 対応課題
北朝鮮ミサイル発射 府県判断分かれる

 北朝鮮のミサイル発射で、有事の際の対応を定めた都道府県の「国民保護計画」のあり方が問われている。今回、政府が武力攻撃と認定しなかったため、京都府は同計画に基づく対応をしなかったが、隣接の福井県が計画に沿って情報収集などに当たる連絡室を初めて設置するなど、対応が分かれた。府県に続き、本年度中に同計画を策定する市町村の間にも、緊張感が広がりそうだ。

 国民保護計画は、武力やテロの攻撃を受けた時の避難誘導、警報、安否確認などのあり方を定めている。2004年に施行された国民保護法に基づき、昨年度、各都道府県が策定した。

 国が武力攻撃と認定した場合に発動するが、今回は自治体の判断で適用できる「認定前初動体制」を取るかどうかで、府県の対応が分かれた。

 「計画に基づき行動する可能性はあった」。危機管理を担当する府職員は打ち明けた。しかし結局、府は今回の事態について通常体制での情報収集を続けた。「政府が日本への被害はなく、武力攻撃と認定しなかった」(危機管理監付)のが理由だ。滋賀県も府と同様の対応だった。

 一方、福井県は、ミサイル発射から約2時間後の5日午前5時すぎ、国が武力攻撃事態かどうか判断する前に、県の同計画に基づき連絡室設置を知事が指示した。「原子力発電所を抱えており、常に緊張感を持つという計画の趣旨を踏まえた」(危機対策・防災課)という。連絡室設置に伴い部局長らが召集され、連絡会議が開かれた。

 同計画に基づく初動体制を取ったのは福井のほか青森と熊本の両県。「将来の武力攻撃につながりかねない」(熊本)、「ミサイル発射は計画の範囲に入ると判断した」(青森)という。

 府県ごとに初動対応が分かれたことで、同計画の発動時期をめぐって今後、各地で議論となりそうだ。市町村で現在進行中の国民保護計画づくりにも、少なからず影響が及ぶとみられる。

 日本海に面する宮津市は「計画を策定する協議会委員が身近な問題として緊迫感を持つのでは」(総務室)とする。府幹部の1人も「武力攻撃という現実感がわき、計画策定の動機付けになるだろう」と話す。

 府内では福井県の原発に近接する舞鶴市や日本海に面する京丹後市、京都御苑をはじめとする重要施設を抱える京都市などは有事への関心が強いという。しかし、府南部のある町の関係者は「国防は国の責務。国民保護というと漠然としているが、計画策定を淡々と進めるだけだ」といい、温度差もみられる。

 今までの基地問題といえば、原発や廃棄物処理場などの迷惑施設と同様に取り上げれてきた。しかし、今回の米軍再編によって、日本がアメリカ軍の体制化に組み込まれて、アメリカの先制攻撃に利用されていく事を認識しなくてはならない。

 この日、会場になった岩国シンフォニア、大ホールでは子供ミュージカルが開催されていて、沢山の子供たちが集まっていた。同じシンフォニアの二階、講演の会場は白髪が目立った。
 岩国の住民投票は大きな成果を残した。しかし、この成果を生かすことが出来るか大きな課題を背負っている。誰かが書いていたけれど、1000人の10000人の集会は報道されないけれど、100万人の行動は報道しない訳には行かないと。住民投票の成功の要因の一つは、思想信条を超えた住民の連帯にあった。世論を喚起するためには、運動のあり方を問い直す必要もあるのではないだろうか。

 北朝鮮の核開発やミサイル開発は確かにある種の恐怖感をもたらす。この恐怖感は核兵器やミサイルという武器自身よりは、北朝鮮の権力構造に対する不安感からきている。何をやるかわからないという心的恐怖である。この恐怖は朝鮮戦争以降の長い歴史を持つものであるが、こうした北朝鮮への恐怖感を抑えていくのは難しい。これは北朝鮮の権力構造が開かれ政治的信頼度が高まるしか道がないからである。だからこそ、一見、現実的に見える強硬意見や言説を疑い冷静になることが必要である。恐怖によって相手の像が歪んでいないか冷静になることを要請されるのである。

 北朝鮮に対して近隣諸国の人々が抱いている恐怖感以上に、彼らはまた近隣諸国に対して恐怖感を抱いている。孤立感からくるのであろうが、この北朝鮮の恐怖感をうすめ小さくする努力は戦争を防ぐ一番の道である。北朝鮮の核開発やミサイル開発に対抗して日本もそれらの開発をし、先制攻撃への道を準備せよという議論もある。対抗的論理であり、一見、現実的に見える。これは核開発やミサイル開発の背後にある精神的基盤への洞察も対応も欠如させている。この道は北朝鮮のみならず中国の日本への恐怖感を強める道である。恐怖感の相互浸透と深まりの循環に入るだけである。この先に何があるというのか。恐怖感は相手の像を歪めるし、本当に現実を見ることを遮断してしまう。「戦争」と言えばそれが戦争を準備するのだ

『直言』三上治「現在的課題」より抜粋

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